みなさん、こんにちは。
柏井歯科矯正歯科の院長 柏井です。
前回のブログから大変期間が空いておりましたが、実は矯正治療はずいぶん前に終わりました。
今は治療を終えた後の保定期間中です。
本当は実体験をリアルタイムに沿ってブログでいろいろ書きたかったのですが、なかなか余裕がなく、、、期待しておられた方がおられましたら申し訳ありません。
いろいろ振り返ってみてという形で、今後お伝えしていければと思います。
まず今回は、矯正治療開始時に多くの方が心配されることの一つ「痛みは実際どうなのか?」というテーマでお話したいと思います。
矯正治療には痛みを伴います。
「全く痛みは出ないですよ」とは決して言えません。ですがその程度も大なり小なりだと思います。
当然個人差もありますし、そもそも痛みが出てもその期間というのも限定的です。
どんな時に痛むのかですが、僕が感じた痛みとしましては、
最初の装置を入れて、一番最初に歯が動き始めるこの時、痛みを感じ始めます。装着して2〜3日間くらいは痛いです。
最初に感じる痛みであり、今まであまり感じることの無いような感覚だと思いますので、少し不安になる方もおられるかもしれませんが、人間の身体はうまく対応してくれます。
3、4日を過ぎればもうあまり痛みは感じません。
その後もまた、ワイヤー交換後や、歯を動かすような調整をしたあとはやはり痛みます。
例えば、午後3時に治療を受けて調整したとすると、夕食時には動き始めた歯が痛み始めて食べ物によっては夕食が食べにくいことがあります(硬めのお肉など)。
痛みとまではいかなくても、装置が歯ぐきや唇・頬に触れる感覚を痛いと表現される方もおられます。
一方で全く痛みを感じない方もおられます。
個人的には異物感・違和感はやはり有るものの、そこまで日常生活に支障はありませんでした。その違和感・異物感も治療開始半年後くらいには、人体の一部の様に馴染み、特に気にもならなくなりました。
痛みは治療の効果が表れている証拠でもあります。
歯が動かしたい位置に移動するにつれて一旦の動きを終えると、痛み・不快感は徐々に軽減していきます。
歯槽骨とは、歯が靭帯を介して位置する部位の骨です。
矯正装置は歯に力を加えることで、歯槽骨の吸収と再生(リモデリング)を促します。この過程で歯が少しずつ動いていき、この動きに痛みが伴います。
抜けそうで抜けない乳歯がグラグラするあの感じのちょっと強い痛み、という感じです。
この歯が動く過程の一部である骨吸収の結果によりプロスタグランジンE2などの痛み物質が生成され、これが痛みを引き起こします。歯が動いている証拠です。
一般的に処方される痛み止めのロキソニン、ロキソプロフェンは、まさにこの痛み物質であるプロスタグランジンを分解するので、痛みの緩和にはとても有効です。
ブラケットやワイヤーが頬の内側や舌、口唇などの粘膜に接触することで不快感や痛みが生じます。
装置との摩擦により口内炎や小さな傷ができることがあります。
これは装置が接触し始める治療初期に多く見られますが、身体が適応していく治療後期にはほとんど起きません。
歯が動いた結果、ワイヤーの後ろ方向への飛び出しや、装置の尖った部分が粘膜を傷つけることがあります。
我慢できない状態であれば受診していただき、保護やカット調整をしてもらいましょう。これも治療後期にはあまり起きません。
矯正装置による物理的な不快感は、特に治療初期に多く見られます。装置に慣れるまでの間、そもそもの原因や適切な対処法を知っておくことが重要です。
そして、そういったことが治療初期に特に起きやすいということを理解しておけば、過剰な不安を抱かずに治療を受けられるかと思います。
歯が動くことによる痛みはプロスタグランジン産生による痛みですので、市販の鎮痛剤(イブプロフェンなど)でも痛みを和らげることができます。
当院では医師による処方で、より鎮痛効果の高い消炎鎮痛剤(ロキソニン、ロキソプロフェン)を処方することもできますので、ご相談ください。僕も飲んでいました。
医療用ワックスやレジンカバーを装置の上に貼ることで、口内の摩擦や擦過傷を防ぐことができます。
僕個人的には使うこともありましたが、頻繁には必要なかったです、うまく自分で付けるのも少しコツが要ります。
◇ワックスは清潔な指で小さく丸めて装着を
◇使い方は医師の指示に従ってください
痛みが強く出やすい時期(治療後・調整後の2、3日)は、大切な外食の機会を控え、ご自宅においても噛み応えのある食事(ステーキ肉など)は避けた方が良いでしょう。
◇食形態や外食の有無を含めての工夫・検討を
◇急がず、落ち着き噛んでゆっくり食べれば何も食べられないということはないはずです
痛いからと言って食べずにいたり、飲み物ばかりなど、極端な栄養の偏りがあると心身ともに不調を来たします。
主菜、副菜、タンパク質、ビタミンのバランス良い咬む食事を心がけましょう。どうしても痛くて咬みづらい時期はやわらかいものや緊急的なゼリー食もありです。
痛みが強く、食事や日常生活に支障をきたす時期が続く場合は、遠慮なく医師に相談してください。
痛みと不便さ・不快さを理解し、対処法を得て、できるだけ快適な矯正治療を
矯正治療には、一時的な痛みや不快感が少なからずあります。
そしてれらを乗り越える忍耐もやはり必要です。
整った歯並びと健康的な咬み合わせは、そう安易には得られません。
乗り越えた先には、治療前には想像もできなかったような自分の笑顔と、うまく噛める!という喜びが待っているはずです。
治療をしていただいた今を振り返えばの感想ですが、矯正治療に伴う痛みや不便さは確かに有りましたが一時的なものでした。
そのときの一瞬はそれが嫌で不安や恐れに感じられるかもしれません。
ですが、「ちょっと痛いな、、、まぁでもそういうもんか、乗り越えよう」と思ってもらえれば特に問題はありません。
適切なケアと日常的な対処法を実践し、定期的な通院を続けることで、ストレスを最小限に抑えながら治療を完了させることができます。
この記事が、今から矯正治療を始めたいと思っていながら、痛みが心配で躊躇しておられる方の参考に少しでもなれば幸いです。
京都北山・北大路の歯医者・矯正歯科
柏井歯科矯正歯科
院長 柏井 桂