こんにちは、柏井歯科矯正歯科の柏井桂です。
前回は歯周病予防についての対策を書かせていただきました。
そこで今回は「歯周病の治療って実際何をするの?」という内容で書かせていただきます。
治療ですので当然、歯科医院で行う内容に焦点を当てていきます。
ここでも最初に出てくるのはやはり一番の敵は『細菌』です。
細菌や細菌が出す毒素などが固まってできたものが歯垢(プラーク)で、これが石灰化したものが歯石です。
歯垢(プラーク)や歯石、これらを物理的に排除する行為が歯周病治療の基本です。
自身での歯ブラシで取り切れなかったものを歯科医院で専用器具を使って除去する
っていうことですね。
”歯医者さんでガリガリされた” ”終わったあとスースーした” ”けっこう血が出た”みたいなあれです。
スケーリングやルートプレーニングといいます。
軽度の歯周病なら、これで自然と歯茎もひきしまり不快症状もおさまることがほとんどです。
中等度の歯周病であれば、更に深い歯周ポケットにアプローチして、時には麻酔もしながら、歯茎の腫れや歯の揺れとも対峙しながら治療を進めていきます。
重度の歯周病では、なくなった組織の再生治療の検討をしつつ、歯が残せないことも考えながら、仮歯や入れ歯なども使いながら、総合的な治療が必要となってきます。
(再生治療に関してはまたいずれ詳しく)
また、普段はなんともない歯周病が急性炎症を呈することもあります。
身体の調子が悪く、免疫力が低下した時に起こりやすいですね。
歯茎がパンパンに腫れたり、ずきずき痛んだり。
そのときには、膿の袋を切開したり、抗菌薬の軟膏を局所投与したり、飲み薬を処方したりします。
すいません、また軽度やら重度やら、小難しい単語を並べてあれやこれや話してしまいました。
歯周病の治療について述べるには色んなパターンがありすぎて、コレという一言はありません。
100人患者さんがいれば100人の歯周病があると思ってもらって間違いありません。
そのなかで、ひとつわかっていただきたいことがあります。
それは、
『細菌やその毒素がたっぷりつまった歯石を触るとき、身体は反応して出血や痛みを伴う』ということです。
よく勘違いされていることですが、”歯石取った医者が下手で出血した”や”何度も通わされて何回も歯石取りされた”というのはよくある歯医者あるあるみたいになっていますが、これらはほぼお互いの認識・知識不足やこちら側の説明不足です。
『細菌性の炎症のある部位は出血性の炎症を起こします』
例えば、胃。
ピロリ菌による胃潰瘍で胃の粘膜は出血を起こしますが、これって誰かが胃を触ったせいじゃなく、だれも胃を触っていませんよね。
でも細菌がいれば炎症を起こして出血するんです。
歯茎の粘膜も一緒で、歯周病菌が存在すれば歯茎は出血しやすいんです。
『何回も通わされた』
これは歯医者も頭を悩ませるところなんです。
1回で終わる、2回で終わる、1年で終わると本当は言いたいんです。
これは、慢性疾患である高血圧や糖尿病を例にしますが、これらと同じで歯周病は一生付き合っていく病気なんですよね。
虫歯治療や入れ歯作製に関してはおよその回数を予想して言えますが、歯周病は難しいんです。
「3回で終わる高血圧治療」とか「半年で完治する糖尿病」とかって胡散臭くないですか?笑
残念ながら歯周病治療の特効薬・劇薬は無いんですが、一生付き合える歯科医院というお薬はあります。ご自身の歯周病はどんな状況なのか、歯科医院で詳しくお聞きになることをお勧めします。
一人ひとりに合った歯周病との向き合い方、治療方法が必ずあると思います。
歯周病治療と言いながらすっきりしない結論で申し訳ありませんが、歯科医院の現場はそんな感じです。
次回は、『虫歯との違い』でお話したいと思います。
京都北山・北大路の歯医者・矯正歯科
柏井歯科矯正歯科
院長 柏井 桂