みなさんこんにちは、柏井歯科矯正歯科の院長 柏井です。
矯正治療の奥深さ・面白さを日々感じています。
今回のタイトルのインプラントアンカースクリューですが、またなかなか聞き馴染みの無い言葉だと思います。「インプラントはなんとなく知ってる、埋め込んで白い歯を作るんでしょ」という感じの方が多いでしょうか。
今回のこれは、矯正治療に用いる器具材料で、どんなものなのか、実際どのように治療に使うのかのお話です。
インプラントアンカースクリューとちょっと長ったらしい名前ですが、3つの単語が組み合わさってできています。
インプラントと、アンカーと、スクリューです。
インプラントとは、歯科では先ほど言ったように「歯が無いところに何かを埋めて歯をつくる」というイメージかと思いますが、もともとの英語としての意味は、『埋め込む・差し込む』といった意味で、医療の分野では、『固定・設置する(体内に器具などを)』という意味になります。
アンカーとは、船でいうところの錨(いかり)です。
船を停泊するためのもので、これも固定源というような意味合いで使われます。
スクリューは、ネジやクギ、ボルトのようなものの総称です。
つまり、矯正治療におけるインプラントアンカースクリューとは、『固定源となるネジを設置する』治療のことです。
ではその実際のモノって具体的にどんなもの?というとこんな感じです。
直径1.6mm、長さは6mmや7mmのものが多く使われている様です。
見た目も本当に小さなネジといった感じです。
このネジを専用のドライバー↓を用いて
局所麻酔を行った歯肉に設置・固定します。
ネジ自体は骨と結合し、しっかりと安定した固定源となります。
実際の治療時の動画を載せます。
患者は僕です。↓
こうして設置されたネジにやわらかいゴムをひっかけ、動かしたい歯と連結し、理想的な位置に歯を動かしていきます。
↑こんな感じです。
青丸で囲っているところがそのスクリューです。
普通に生活していて見えてしまうような部位には行いませんので、目立つことはありません。
当然、麻酔の効きを確認したうえで行うので、グーっと押されるような感覚はありますが、痛みはありません。
歯肉を切ることもしませんし、当然縫うこともなく、出血もなく終わります。
麻酔がきれたあとは、少し違和感はありましたが、痛み止めの薬は要りませんでした。
さて、ここで疑問に思われた方もおられるかもしれません。
これってどんな場合に必要なの?
普通にワイヤーとかマウスピースで歯は動くんじゃないの?
というところですが、僕のケースで言うと奥歯が良い咬み合わせで維持できているので、奥歯の位置は維持しながら前歯を後ろに動かしたい場合です。
また、ケースによっては上の前歯のガミースマイル(笑った時の上の前歯の歯茎が目立つケース)の歯を上方向に動かすような改善や、前に出ている歯を奥に奥にひっこめたいようなケースなど、様々な症例に用いられる様です。
全ての矯正治療に必要なわけでは無く、あくまでも補助的な治療手段ではありますが、ワイヤーやマウスピースでは限界があるような歯の移動量を高めたり、効率的な歯の移動を可能にしてくれるので、とても良い治療手段の一つとして広く広まって来ているようです。
そしてこれは矯正治療装置全般に言えることですが、このスクリューのまわりにも細菌が溜まると炎症を起こすので歯ブラシは必須です。
僕もワンタフトブラシでお手入れがんばっています!
動かすのが難しい歯の移動を可能にしたり、効率的に早く歯を動かしたりできるアンカースクリューのお話でした。
京都北山・北大路の歯医者・矯正歯科
柏井歯科矯正歯科
院長 柏井 桂